行政書士と国際業務
日本に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき入国時に1つの在留資格が与えられ、在留期間の更新あるいは在留資格の変更等が生じた場合、当該外国人は地方入国管理局に対して、申請を行わなければなりません。
こうした外国人が行う出入国管理手続きに関しては行政書士が申請取次を行うことが認められています。
また、こうした申請取次に関することだけではなく、それ以外の依頼をしている外国人も多く、行政書士が活躍する場面が増えています。(例えば、「帰化申請等国籍関係の業務」、「外国人による会社・法人関係手続」、「外国人による各種営業手続」や「「外国人による婚姻・相続等の手続」などです。)
1、申請取次制度
本来、在留外国人が在留に必要な届出をする場合、申請者本人が地方入国管理局に行かなければなりません。しかし、一定の申請に対しては、申請者が行かなくても定められた者が申請書等の提出をすることができます。
現在、申請取次(申請者の代わりに提出するだけで、代理ではありません。)できる者は、弁護士または行政書士で地方入国管理局長に届出した者、外国人を受け入れている機関等の職員または公益法人の職員、旅行業者のうち地方管理局長から承認を受けた者です。ただし、取扱う申請の範囲は業種によって異なるので、下の表を確認して下さい。
申請等の種別と取次を行うことができる者
申請項目 | 受入機関の職員 | 公益法人の職員 | 旅行業者 | 弁護士・行政書士 |
入管法 | 在留資格認定証明書交付申請 | *1 | 〇 | × | 〇 |
在留外活動許可申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
就労資格証明書交付申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
住居地の届出 | *2 | *2 | *2 | *2 |
住居地以外の記載事項の変更届出 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
在留カードの有効期間の更新申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
紛失等による在留カードの再交付申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
汚損による在留カードの再交付申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
在留資格変更許可申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
在留期間更新許可申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
永住許可申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
在留資格取得許可申請 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
申請内容の変更の届出 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
再入国許可申請 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
在留特別許可(在留カードの受領のみ) | 〇 | 〇 | × | 〇 |
難民認定申請に伴う在留資格取得許可又は在留特別許可(在留カードの受領のみ) | 〇 | 〇 | × | 〇 |
特例法 | 住居地の届出 | *2 | *2 | *2 | *2 |
住居地以外の記載事項の変更届出 | × | × | × | 〇 |
特別永住者証明書の有効期間の更新申請 | × | × | × | 〇 |
紛失等による特別永住者証明書の再交付申請 | × | × | × | 〇 |
汚損等による特別永住者証明書の再交付申請 | × | × | × | 〇 |
*1:申請等の取次はできないが、ほとんどの場合、代理人として申請等を行うことができます。
*2:申請等の取次とは異なるが、外国人又は代理人からの依頼を引き受けることにより、代わって届出を行うことはできる。
出典:財団法人入管協会『申請等取次制度の概要』7頁
2、申請取次業務をする行政書士
申請取次業務をする行政書士は、日本行政書士会連合会が主催する研修会を受講し、効果測定を経て、修了証をもらわなければなりません。また有効期間は3年間であるため、期間終了後も業務をするためには、期間内に研修に参加し効果測定を受けなければなりません
3、出入国管理業務以外の業務
国際業務は出入国管理業だけを指すものではありません。行政書士は幅広い分野の行政手続きをすることができます。例えば、帰化申請、登記申請手続以外の法人設立に必要な手続(定款作成など)、農地転用の許可申請、運送業の申請、建設業の申請、飲食店営業許可申請、風俗営業許可申請、深夜酒類提供飲食店営業開始届出等や古物商の申請等です。
このような行政手続のプロとして、在留外国人に対し、帰化申請に関する業務、各種営業手続(古物商の届出や飲食店の営業許可など)、婚姻・相続等の手続などにも携わります。